うそつきペン
それなら断られたとしてもツグミにとっては素敵な思い出になっていることだろう。


「なんかしんみりしちゃったね。なにか漫画でも読ませてよ」


ツグミは気を取り直すようにそう言って本棚へと近づいた。


「最近あんまり漫画買ってないんだよねぇ」


「そうなんだ?」


「そうだ。この前買ったCDがあるんだけどさぁ」


あたしはそう言いながら机の引き出しを開けた。


そこには無造作に買ったばかりのCDが入っている。


「あれ、このペンなに?」


横から引き出しの中を見ていたツグミがそう聞いて来た。


ハッとして引き出しを閉めようとしたが、一歩遅かった。


ツグミはうそつきペンを手に取り、珍しそうに見つめている。
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