慟哭、禁断の果てに
抱きしめられた腕からスルリと抜け出す

見上げると、目尻を下げてあぐねる和宏さんの視線
が降りてくる

「和宏さんのお父さんも、もしかして、、、?」

「うん、舞ちゃんのお母さんが自分のせいで自死したと
そのショックで。それが引き金になったんだと思う。
だから、覚えてないんだ。舞ちゃんのお母さんと
出会ったときから、舞ちゃんのことも、自死のことも
何もかも記憶から摘み取られて、、、」

私とは別の形で、和宏さんも辛く悲しい思いを抱えて
生きてきたんだ

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