Boys Love
金髪とチンピラ
辺りをキョロキョロするこの不審人物は、見た目、崩したオールバックにグラサン、オシャレだけど柄シャツ。どう見てもチンピラにしか見えない容貌であった。ただ、そこは流石、大都会東京。誰もそいつを気にする事はなかったのである。

困った弦は、とりあえずスマホの充電が先だと、適当に歩いて見つけたコンビニへ足を踏み入れ、充電器が置いているコーナーの前でどれがいいのかと唸っていた。
流石に充電器の前でうんうん唸る男は、怪しく、弦がポケットに手を突っ込んだ瞬間、それを目撃した推定60代女性は店員へ、

「あの人万引きよ!!」

と、チク……いや、間違った報告をした。しかし、弦の容貌が怖い店員もまた、弦に注意など出来るはずもなく、警察に通報したのである。

暫くして、「よっしゃ、これや!」と、充電器を手に取ってレジへ歩いてきた彼を、警官が取り巻いた。

「な、なんや。俺何もしてへんぞ!」

「とりあえず店外へ出ようか」

促されて、外へ出た彼をジロジロ見る2人組の警官。見廻りでたまたま近くにいたのだろう。

「キミ、見た感じ財布すら持っていなさそうだけど、お金持ってるの?」

「はー?! 失礼にもほどがあるわ! 俺がヨレヨレの浮浪者にでも見えんのか!! ここに入れて…」

後ろのズボンのポケットに手を入れた弦の動きがピタリと止まる。それもそのはず、入れたはずの財布がないのだから。そして手には会計前の商品を持っているのである。

「現行犯逮捕!!」
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