Boys Love
やっさんと呼ばれる男は、いいよー! と快諾した。

「ありがとうありがとう!! ほんまにありがとう!! 誰や東京もんは冷たい言い出したん。めっちゃええ人」

「じゃあ、俺帰るから」

金髪の男がそう言い残して店を出ようとした時、弦は叫ぶ。

「ほんまにありがとう!! 俺、秦 弦!! 名前だけでも教えて!!」


「……上條 響」

「響かぁ、ほんまにありがとう!」

「しつこいな」

少し頬を赤くして、彼は帰って行った。

カランカランと鳴るそれが閉まると、シェーカーを降ってるやっさんは、弦の容貌や言動を見てこう言った。

「ねぇ、あんたヤクザ? 何かやっちゃったの? ここに匿えばいいの?」

「ちゃうわボケ! 俺は虫も殺せん優しい奴なんやで! 誰がヤクザや」

「あー、匿わなくてもいいのね。問題事はごめんだからさ。まぁ響が明らかに見た目怪しいのに素性も知らない奴ここに連れてくるなんて事はないだろうけど」

「え、あいつ俺の素性知らんから、自分家泊めれんからって言うとったぞ」

「…っっ?! 響ーーーーー!!!」


やっさんの声が夜空にコダマするが、当の本人は優雅にお風呂に入っていた。暫くして丑三つ時も超えた頃、弦とやっさんはすっかり仲良くなっていた。

「荷物入れてるロッカーの駅わからないってほんっと馬鹿なの?! ひゃっはっは」

「そんなん言うたかて、東京初めてやし、駅名複雑やし。大阪も複雑やけど、知り尽くしとるからなぁ。やっさん頼むわー! 暫くここで雇てー!」

「まぁいいけど、せめて身元保証してくれる人いない?」

「おる! 明日オカンに電話する!」

「まぁ、それなら」

意気投合した二人はそこそこ酔っ払いながら、深夜も更けていった。
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