あのね、私ね、
カッコいい、カッコ良すぎる、右側からワックスで固められた前髪、ちょっと明るめな茶髪、切れ長な目、ぎゅっと結ばれた唇、大きな手に181センチもある高身長、どうしよう近づいてくるこれは私にキスしにくるのか…と重度の妄想をしてた矢先、頭を叩かれた。なんだキスじゃなかったのか…

「マヌケな顔してるんじゃねーよ。一ノ瀬のくせにもう酔ったのか?」と呆れて笑いながら私の横に座る男。そう宇野愁生。罪な男だ。私という女を惚れさせときながら気づかないなんて、いや、自分が奥手なせいで告白できないだけなんだけど。

「酔ってないよ〜だ!!宇野のくせに私を叩くなんて100年早い!」と言いながらも酔ってきたなと感じる。

「そんなに言い返せる元気があるなら大丈夫か」と右の口角を上げて酒を飲んだ。隣に座ってくれたことにときめきを感じながら、今日もいいことがあったと心に留める。

大手飲料メーカーKAEDEに勤めてもう3年になり仕事が楽しいと思い始めたところ。

そんな中、少し暑さを感じる五月になり久しぶりの同期会で会社近くの居酒屋で近況報告をしていたところだ。

泥沼不倫していた子が足を洗ったことや、彼女と結婚しますと宣言した男性の話を聞き、もう結婚適齢期かと思った四月の同期会。このままなにも変わらない関係はダメだと思い、五月の同期会で何か進展しようと思っていた。

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