先輩の恋人 ~花曇りのち晴れ渡る花笑み~

何度も角度を変え啄み、下唇を甘噛みし、舌を入れ徐々に深くなるキスに花笑は未だに慣れていないようでたどたどしくもなんとか付いてこようとする。
息苦しそうにしているから一旦止めて、包み込むように抱きしめた。
大きく息を吐く花笑に、

「なんだ、苦しそうだな。ちゃんと鼻で息しろよ」

「う、だって慣れてないんだもの…」

顔を赤くして、胸に顔を摺り寄せてくる。

「そんなんじゃ先が思いやられるな。」

「先?」

「キスの先だ。…お前を抱きたい。」

「っ…」

目を見てストレートに誘ったら、ますます顔を赤くして言葉に詰まる花笑に、もしやと思って顔を覗き込んだ。

「もしかして…したことないとか?」

「あああっあるわけないじゃない!私こうくんしか付き合ったことないし!」

慌ててしどろもどろに言い訳してるのを呆気にとられて見ていた。
また呼び名が戻ってるし。

「もしかして、キスも?」

コクっと頷く。

慣れてないなとは思っていたが、会わない間に彼氏の一人や二人いたと思っていたんだが…

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