先輩の恋人 ~花曇りのち晴れ渡る花笑み~
「そりゃそうよ!お金持ちで、将来有望で、イケメンじゃないと!将来結婚したら苦労したくないじゃないの!」
「お金、大事…ですか?私は航さんがお金持ちじゃなくても今の姿じゃなくてもきっと好きです。」
臆面もなく言ってくるから拍子抜けした。
「あなた…よくもぬけぬけと…。私は…、…私の実家は貧乏だったのよ…」
「え?」
「だからお金に苦労したくないの!」
ちょっと恥ずかしくて叫んでしまった。
またぽかんとした顔…。
「…でも、愛し合った人と結婚したくないですか?」
「何を当たり前のことを…そりゃそうに決まってるじゃないの」
「じゃあ、愛した人がお金持ちじゃなかったらどうします?」
「…………」
そういえばそうだ…、
ステイタスばっかり気にして理想の人が必ずしも愛した人とは限らないんだった。
その事を忘れて今まで合コンに挑んでたから誰も相手にしてくれなかった…?
「案外、近くにいるかも知れませんよ?運命の愛する人。」
さっきまで泣いてたくせに、にっこり笑って余裕の表情。
なんだか癪にさわるけど、すとんとその言葉が胸に響いた。
「そ、そうね。いたらいいんだけど…」
赤くなった顔を、ふふふっと笑う松崎さんに見られてなんだか恥ずかしい…。
はぁ~~~
運命の人、早く現れないかしら…。