先輩の恋人 ~花曇りのち晴れ渡る花笑み~
その日の夜、家に帰り二人で花笑の作った夕食を取り、食後のコーヒーをソファーで飲んでるときに話を切り出した。
「花笑、出張が入った。月曜から4日間」
「月曜日から?4日間?」
俺とは反対側にある壁のカレンダーへ顔を向け、いつ帰るのかを数えている。
「帰るのは……18日?」
「ああ…」
俺の誕生日は17日の水曜日。
ゆっくりこちらに向きながら問いかけてくる花笑はしゅんとして俯いている。
「そう…誕生日過ぎちゃうね。仕事だからしょうがないよね…」
早く帰ってこれるかもしれないと言いたいとこだが間に合わないこともある。ぬか喜びさせるのも気が引けるから言わないでおこう。
「じゃあ…航さん居ないなら、私、自分の家に帰るね。もうお手伝いしなくても大丈夫そうだし…」
いやいや待て、それは許さん…。
「花笑、出張の間もここに居てくれ。」
「え、でも…」
「出張から帰ったらここで出迎えてくれ」
揺れる瞳を真っ直ぐ見つめ訴える。
「…わかりました。じゃあ帰って来たら、誕生日祝おうね」
にっこり笑って頷く花笑にホッとして抱き締めた。
「ああ、楽しみにしてる。待っててくれ」
・・・・・