先輩の恋人 ~花曇りのち晴れ渡る花笑み~
花笑母said
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外までのお見送りを断られ、窓から見送ろうとカーテンを開けたら、

「まあ!お父さん見て!」

手をつないで出てきた花笑たち。
何やら立ち止まって話をしてるみたいだけど、花笑が航君に抱き着いた。
そんな花笑を愛おしそうに見つめ、頭を撫で頭上にキスをする航君。
お父さんも隣に来て見つめてる。

「・・・はあ、あんまり見たくなかったな・・・」

そう言って去るお父さんの後ろ姿を見て苦笑い。
もう一度窓の向こうを見ると車に乗り込み走り去るのが見えた。

「ラブラブねえ、昔の私たちみたいじゃない?」

ソファーに座るお父さんの隣に移動して顔を覗き込む。

「そんな昔のことは忘れた」

憮然として顔を隠すように新聞を広げるお父さん。

「ふふっそんなにかわいい一人娘を取られてさみしい?」

「・・・・」

無言のお父さんに横から抱き着いてみる。

「大丈夫よ。お嫁に行ったっていつでも帰ってきてくれるし、私がいるでしょう?それに、絶対花笑は幸せになるわ。私達の子だもの。」

「・・・・ああ、そうだな」

そう言って腕を回し私の肩を抱き寄せるお父さん。

ふふっ、航くんはお父さんに似ていると思う。
家庭教師をしていた頃から礼儀正しくて好感の持てる青年だった。
その頃から花笑は航くんのことが大好きで初恋なのは見ていて直ぐにわかった。

よかったね、花笑。
花笑はきっと愛されて幸せになれるよ。
お父さんの肩にもたれて娘を想い微笑んだ。
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