先輩の恋人 ~花曇りのち晴れ渡る花笑み~
「ふふふっ、こんな怒ってる感じ出しちゃってるけど、ホントはとっくに許すつもりでいたのよお父さん。娘がお嫁に行くっていうんで寂しいのよ」
「おいっ・・・」
お義母さんがお義父さんの気持ちを暴露してしまって、お義父さんは焦ってるが、お義母さんは気にも留めず上機嫌。
「今日はお夕飯食べてってね!お祝いだから腕によりを掛けちゃうから!」
和やかに夕飯を頂きこれからのことを話し、泊まっていけば?と言われたが明日仕事だからと丁寧に断り帰路に就く。
玄関先で、外まで送っていくというお母さんに外は寒いからここで、と断り外に出た。
「っふぅ~~」
思わず大きなため息をつくと隣で笑う花笑。
「ふふっ、珍しく緊張しっぱなしだったね?航さん」
「ああ、さすがに。お前のお義父さんを前にすると緊張する」
「怖いことないよ?優しいんだからお父さん」
「それはお前に対してだけだろう?あれは花笑に寄り付く男はみんな蹴散らす目だ」
「ふふっ、じゃあ、そんなお父さんのお眼鏡に叶ったんだから、自信持っていいよ航さん」
そう言って抱き着く花笑。
そうだろうか?あれは娘の言葉に諦め許しただけにすぎないような・・・。
まあ、認められたんだからいいか・・・。
頭を撫でて見つめ合い頭上にキスをする。
とりあえず、最大の難関を切り抜けられたことに安堵した。