先輩の恋人 ~花曇りのち晴れ渡る花笑み~

「航の嫁さん?可愛いねえ。どうもはじめまして、藤沢正晴です。よろしく」

と言って、私の隣に座ろうとしたら、航さんに腰を引き寄せられた。

「そこに座るな!お前はあっち行け」

そう言って正晴さんを牽制する。

「何だよ、ケチ臭いな~。せっかく嫁さんと仲良くなろうと思ったのに」

「仲良くならんでいい!お前は手が早いから近づくな」

「ちぇ~」

正晴さんはつまんなそうに貴章さんの隣に移動した。

お義父さん達は面白いものでも見てるように笑っている。航さんが私をずっと離さないからちょっと恥ずかしかった。

そんなことをしているうちに次から次へとお客様が来て、みんなご近所の方や商店街の皆さんが私たちのことを聞きつけてお祝いに駆けつけてくれた。

広かった10畳のお座敷が人で溢れかえり笑いの絶えない時間が過ぎた。

因みに、私たちはまだ婚約しただけで結婚もしてないんだけど、みんな私のことを航さんのお嫁さんと呼んでくれる。それが嬉しかった。
結婚した時にはどんなに賑やかになるんだろうと想像すると楽しくなった。

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