先輩の恋人 ~花曇りのち晴れ渡る花笑み~

「悪かったわね、今まで嫌な思いさせて。何もしてないとはいえ、切っ掛けは私だったのだし。その後あの子達が嫌がらせしてたのも全然知らなくて…。1年近くも続いてたみたいね」

「い、いえ…」

呆然と小さな声で言うのが精一杯だった。

「今だから言うけど、せめてもの罪滅ぼしに嫌がらせしてた子二人とも転勤にしてもらったし、あなたも営業部に部署替えして心機一転働き易いようにしてもらったつもり」

「え…部署替えは操さんが?」

確かに、部署替えになって環境が変わって嫌な思いもしなくなった。
営業部は噂を気にする人が少なくて、何よりこうくんがいたから仕事を続けていくことができたんだけど…。

「本当はただの秘書がそんな事できないけどね。今回ばかりは社長にお願いして口添えしてもらったわ」

驚くことばかりで混乱する。

「親父がそれ許したのか?」

「社内の働き易さも必要なことでしょ。優秀な人材が辞めてしまわないためにも風紀を乱す人にはそれなりの制裁をしないとね。」

知らなかった。操さんが裏で動いてくれたなんて。
驚きと有り難さで目頭が熱くなる。

「じゃあ姉貴、今は、その…山片課長の事は?」

思わず置田君の顔を見た。
知ってたのね…でも、噂を調べたなら山片さんの事だってすぐわかるか…。

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