セナカアワセ

第5節 君の存在

私が目を覚ましたのは、栞里の家に来て2日後のことだった。



途中何回か目を覚ましたらしいけど、またすぐに寝てしまっての繰り返しだったらしい。



三日目からは体調も回復した。



全然元気だった。



ただ、なんか、物足りない感じ?



物凄く楽しい、面白い、そういう感情がなくなってしまった。



そういう感じだった。




話していてもあとから考えればほとんど覚えていなくて。




多分それは栞里が遙人の名前を出さなかったからだと思う。




だって、学校に行って、誰かが遙人の名前を呼んだ時、私の目から涙が伝った。




栞里に言われるまで自分では気づかなかった。



そして、自分の涙に気づくと私は声を押し殺すように泣いた。



周りの人から見えないように栞里は隠してくれた。




陸が来た時はお腹痛いからって。




そう言って断ってくれた。



でも、学校に行ったらいちいち思い出すんだ。



消えない。



また思い出したら泣きそうになって、お腹痛くなって。



でも、なんで泣いているのか自分でも分からない。




私は悲しいの?



辛いの?



痛いの?














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