セナカアワセ
自分の感情が自分でも分からない。




そうして授業中もボーとすることが増えた。




何を考えるわけでもなく。




バドミントンしに行こうか。




またあの時みたいに逃げてみようか。




「那美香ー!帰ろ?」




「うん。でも会長は?」



「んー?受験で忙しいし、塾あるって言ってたし。センター試験は終わってもまだ色々あるみたい。」



「そっか。じゃあ、帰ろ!」




栞里はそう言ったけど、帰りくらい会長と一緒に帰れるはず。




私がいつまでもこんなんだから、心配かけてる。




でも私でもどうしたらいいか分からないんだ。




心を閉ざして、閉め切っている。





廊下に出ると、前から歩いてくる、、、遙人




下を向いて歩いているけど、ふと顔を上げて目が合う。




すると、栞里が私の手を引いて早歩きで歩く。




遙人はそんな私たちを見て悲しそうな、泣きだしそうな顔をした。



私はどんな顔をしているのかな。




ていうか、どうして遙人がそんな顔するの?




分からないよ。



遙人が分からない。




校門に行くと見たことのある人がそこにいた。




「あっ、会えた!!那美香ちゃん、だよね?」




そう言って笑った顔は言っていた通り、女の子らしくて可愛い笑顔だった。



それに比べて私は、目も赤いし、唇もガサガサだし、脚には絆創膏。




「由果ちゃん、ですよね?」




「うんうん!」



「那美香に何かようですか?」













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