セナカアワセ
「俺の方をずっと、向いていて欲しい。」





「、、、、、、、、、それがお願い?」





「うん。、、、困った時も嬉しい時も、辛い時も。俺がいるってこと忘れないで、俺に頼って欲しい。そして、もう背中を追いかけないで、俺の目が届くところにいてよ。」




「、、、、、、うん。世界一優しい願い事だね。」




「うん。でも次からは普通に奢ってとか言うからな?気持ちの準備しておいてよ。」




「私が勝つから、遙人とこそ頑張りな!」




こうやって、可愛くないこと言えるのも遙人だから。




私達はこれくらいがちょうどいい。




でも、さっきの言葉。




私は絶対忘れないよ。




また間違った時も、何があっても、私は遙人の目を見て、言葉にするよ。



1人で落ち込むなんて、時間の無駄。




話し合わなきゃ分からないこと、たくさんあるから。




「【春霞 たなびく山の 桜花 見れどもあかぬ 君にもあるかな】」




「それ、どういう歌?」




突然の言った歌を聞いても遙人はなになにって興味示してくれる。




「春霞がたなびく山の桜の花はいくら見ても見飽きることはありません。それと同じように、いくらあなたに逢っても私の心は満ち足りることがない。それほど恋しいですよ。あなたのことが。」




そういう意味だよって言うと、ちょっとその意味を考えるようにして、言いたいことに気づいたのか私の方を見た。




そしてすぐに目を逸らして頭を抱える。




「俺もだよ。俺も、那美香に会うとそうだけどさ、、、、、、ずるい。」




「え?どこが!?」




「そうやって急に可愛いこと言ってくるところ。和歌ってやばいな。深すぎて、心に刺さる。俺も勉強して那美香のこと照れさせたい。」


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