【完】さつきあめ
「俺は両極端な女を好きになる。
お前有明に一目ぼれしたんだろ?それは元々お前の中の好みが有明だったってだけだ。
それで俺の好みもお前みたいな容姿の女なだけ。
気が強そうな美人が元から好きでね」

「じゃあ今すぐに辞めてください!
あたしはあなたなんて絶対に好きにならないし、ゆりさんからも変な恨みを今は買いたくない!
そんな事がなくても、あたしは、いつかゆりさんもあなたも超える人間になる!」

言ってしまった後に後悔した。
朝日はわけもわからずにきょとんとした視線を向ける。
わたしがここに立ち続ける理由、それは光だけではなく
この世界で頂点にいて、上から笑っている、朝日とゆりを超える人間になるためだった。
それがこの世界に入って、自分とした初めての約束。

「じゃあ、あたしは帰ります!」

上着を取り、ソファーから立ち上がり帰ろうとするわたしを朝日の腕は制止した。
見つめている朝日の瞳は戸惑っているように感じた。それでもなおも冷たい瞳を持つこの人とと持っていた熱の熱さがアンバランスすぎて、だから戸惑ってしまうんだ。

「見た目と思っていた性格が全然違う」

「…」

「見た目はタイプなんだけど、お前の持ってる性格のすべてが全然違う」

「全然違うなら、あたしにちょっかい出すのはもうやめてください」

がっしりと掴んだ腕を離してはくれない。更に強く力が入って、痛みさえ感じる。
離して、と言いかけて朝日の顔を見て、愕然とする。
両目は充血している。怒っているのか、悲しんでいるのか、それさえも読めない表情をしている。

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