【完】さつきあめ
⑧
本格的に通いだした、ジムとエステ。
美容室にも2週間に1回通い、いつでも完璧な髪とネイル。
どこまでも跳ね上がっていく給料も自分を着飾る洋服やアクセサリーに消えた。
でもただひとつ、光から貰った羽根のついたネックレスだけは片時も外した事はない。
昼間の光りが嫌い。 いつからそう思うようになったのだろう。
光りが嫌いというか怖くなってしまったのかもしれない。
美容室で染め直した冬のおすすめのカラーと、馬鹿みたいに高いトリートメント。そのお陰か、ショーウィンドウに映る髪の毛は艶やかに風を切るたびに揺れる。
いつからか人目を避けるようにかけるようになったサングラスが丁度良く光を遮断してくれている。
「今の人見たぁ~?」
「モデルさんかなぁ?ちょ~綺麗だったぁ」
横を通り過ぎる女子高生の声がする。
誰もが振り向くような女になれたような気もする。
けれど、それは全部お金のおかげだった。 常日頃から、自分が商品であるように心がけて歩くようになったのも、最近になってからのこと。
「深海さんおはようー」
「おう、さくら、おはよう」
開店前のお店。
バックでスーツを着崩した深海が立ちながらカップラーメンをすする。
出勤前のこの人のご飯といえばこのお店に入ってからずっとコンビニのものだ。
その横で高橋が携帯を片手におにぎりを頬張る。わたしに気づき、近づいてきた。
美容室にも2週間に1回通い、いつでも完璧な髪とネイル。
どこまでも跳ね上がっていく給料も自分を着飾る洋服やアクセサリーに消えた。
でもただひとつ、光から貰った羽根のついたネックレスだけは片時も外した事はない。
昼間の光りが嫌い。 いつからそう思うようになったのだろう。
光りが嫌いというか怖くなってしまったのかもしれない。
美容室で染め直した冬のおすすめのカラーと、馬鹿みたいに高いトリートメント。そのお陰か、ショーウィンドウに映る髪の毛は艶やかに風を切るたびに揺れる。
いつからか人目を避けるようにかけるようになったサングラスが丁度良く光を遮断してくれている。
「今の人見たぁ~?」
「モデルさんかなぁ?ちょ~綺麗だったぁ」
横を通り過ぎる女子高生の声がする。
誰もが振り向くような女になれたような気もする。
けれど、それは全部お金のおかげだった。 常日頃から、自分が商品であるように心がけて歩くようになったのも、最近になってからのこと。
「深海さんおはようー」
「おう、さくら、おはよう」
開店前のお店。
バックでスーツを着崩した深海が立ちながらカップラーメンをすする。
出勤前のこの人のご飯といえばこのお店に入ってからずっとコンビニのものだ。
その横で高橋が携帯を片手におにぎりを頬張る。わたしに気づき、近づいてきた。