【完】さつきあめ
「社長って色管理する噂はぁ~、確かにあるけどぉ~!
あたしから見たらやっぱりさくらは特別な感じするよ?!自分の事好きなめんどくさい女なんて同じマンションに住まわそうなんて考えないだろうし~!」
「まぁね、それもあるけど…。
男ってやつは、特に夜の男ってのは打算で動く奴多いからね。
好きになる女の気が知れないよ」
はるなの言葉に美優と共に顔を見合わせる。
多分思っていた事は同じだろう。
「はるなが言っても説得力ないよ~…」
美優の言葉にうんうんと頷く。
嬢と黒服の恋は驚く程多い。同じ職場で女と男しかいないのなら、そこに恋愛が生まれるのは珍しい事ではない。
「深海さんは違うの!」
何が違うのかいまいちわからないが、はるなは力説する。
「確かに深海さんって謎だよね~、女の匂いはしなよね~。でもどっかの飲み屋の女と付き合ってるとか前噂あったよ~。七色ではないけど~」
「確かに深海さんって謎。お店の女の子と深く関わらないようにしてるように見えるけど、でも実は1番女の子の事考えてくれてたり」
「あたしはそういう浮ついてない深海さんが好きなのっ!」
「そんなに好きなら告っちゃえばいいのにぃ…」
「無理。あたしは深海さんが仕事上で認めてもらえればそれで充分だし」
はるなって一途だなってつくづく思う。
そんなに好きな相手なのに、見返りを求める事なくずっと好きでいれるなんて、わたしには到底真似できない。わたしはいつも光に好きという自分だけの気持ちを押し付けていたから。