【完】さつきあめ
どうやって歩いて、どうやって自分のマンションまで帰ってきたかいまいち覚えていない。それくらい色々な事を考えすぎて、何1つ整理がつかなかった。
明けていく空さえ睨みつけていた。
周りの視界がぼやけていた。それがはっきりと鮮明に映し出されたのは、マンションに入って、わたしの部屋の前に光の姿を見つめた時から。
「光……!」
光はわたしの部屋のドアに寄りかかり、目を閉じていた。
スーツ姿のまんま、疲れた顔をしてゆっくりと目を開けた。
いつから待っていたんだろう。最近はずっと話もしていなかったし、ろくに会う事もなかった。全ての事を含めて考えるのならば、光はわたしを避けていたのかもしれない。
全部知っていて、こうなる事もわかっていて、わざとわたしに会わないようにしていたのかもしれない。
「いつからいたの…?!
連絡してよ…!てか同じマンションなんだから、自分の家で待ってれば良かったじゃない…」
駆け寄って光の手を握ると、いつも熱い程の体温を持っている彼の手が指先まで冷え切っていた。
いつから待っていたというのだろう、この人は。
それでも柔らかい微笑みを浮かべ、いつものように軽くわたしの頭を撫でる。
笑いたくない時まで、笑わなくていいのに。
「もう、ここに家ないから」
「え?!」
光の言ってる事の意味がわからなかった。
「ちょっと前に引っ越したんだ」
「何で…?!」
言いたい事は沢山ある。
引っ越すなんて聞いてない。どうして黙って引っ越してしまったのか。何故わたしがTHREEに移動になる事を知っていながらずっと隠し続けたのか。
わかってる事は、光が自らわたしと距離を置こうとしている事だけだった。
明けていく空さえ睨みつけていた。
周りの視界がぼやけていた。それがはっきりと鮮明に映し出されたのは、マンションに入って、わたしの部屋の前に光の姿を見つめた時から。
「光……!」
光はわたしの部屋のドアに寄りかかり、目を閉じていた。
スーツ姿のまんま、疲れた顔をしてゆっくりと目を開けた。
いつから待っていたんだろう。最近はずっと話もしていなかったし、ろくに会う事もなかった。全ての事を含めて考えるのならば、光はわたしを避けていたのかもしれない。
全部知っていて、こうなる事もわかっていて、わざとわたしに会わないようにしていたのかもしれない。
「いつからいたの…?!
連絡してよ…!てか同じマンションなんだから、自分の家で待ってれば良かったじゃない…」
駆け寄って光の手を握ると、いつも熱い程の体温を持っている彼の手が指先まで冷え切っていた。
いつから待っていたというのだろう、この人は。
それでも柔らかい微笑みを浮かべ、いつものように軽くわたしの頭を撫でる。
笑いたくない時まで、笑わなくていいのに。
「もう、ここに家ないから」
「え?!」
光の言ってる事の意味がわからなかった。
「ちょっと前に引っ越したんだ」
「何で…?!」
言いたい事は沢山ある。
引っ越すなんて聞いてない。どうして黙って引っ越してしまったのか。何故わたしがTHREEに移動になる事を知っていながらずっと隠し続けたのか。
わかってる事は、光が自らわたしと距離を置こうとしている事だけだった。