【完】さつきあめ

「離れていくくせに、優しくするなんてずるい…」

「俺、ずっとずるい奴だったよな、お前は真っ直ぐに俺を好きだってずっと言い続けてくれたのに、俺もお前を好きだったのにずっと夕陽の気持ちから逃げ続けてた。
夕陽は言葉や行動で俺を好きなのをずっと伝えてくれてたのに、俺は夕陽に何もしてあげられなかった…」

「もう逃げないで…。
何もしてくれなくてもいい…。気持ちに応えてくれなくたっていい…。
お店でも会えなくなって、住む場所も変わってしまったら、あたしたちを繋ぐもの、何もなくなっちゃうんだよ…」

「ごめん…夕陽…」


誰もがわたしと光の恋を応援はしてくれなかった。自分たち自身さえも、この恋を大切には出来なかったね。
全ての繋がりを呪った。
あの時わたしが全てを捨てても光との恋を選んでいたなら、また違う未来を手に入れる事が出来たのかもしれない。ふたり、笑い合う未来を。
あなたが好きだと言ってくれたあの頃のわたしは、もうここにいない。
大切な物を、シーズンズに置き去りにしたまま、時は無情にも過ぎ去っていくばかりで、わたしの力では、何も止める事は出来なかった。


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