【完】さつきあめ
「ダイヤの女の子だって~、知り合いのキャバの子に聞いたけど結構人気のある子みたい」
そりゃそうだ。
あの時かなり高圧的にわたしへ突っかかってきたところを見ると、相当気の強い人だろう。
自分のグループの女の子ではなく、違うグループの女の子と光は付き合っている。
風紀ではないし、一応問題ではないのだろう。
美優は結構人気のある女の子みたい、と言ったけれど、ダイヤモンドグループはこの南という子を顔にしてグループを売り出そうとしている。
これも嘘か本当かわからないインターネットのサイトで見た情報だ。
そんなのをいちいち調べるあたり、わたしはやっぱり気持ち悪い。
「しょせん社長なんてそんなもんなのよ~!」
「ん~…」
「さくらもあんな男なんて忘れて、新しい恋しよっ!」
「恋ね~…」
「なんなら合コンとか」
「パス。そういうの無理」
「もぉ~!じゃあなんなら無理じゃないのよぉ~!もったいないよ~あんな最低な男に時間使うの~!」
「ごめん。美優ちゃん。最低なのも全部わかってるけど、まだ好きみたい。
この気持ちを封印しようとすればするほど思い出しちゃうんだ…」
「呆れちゃう…」
自分でも呆れてしまう。
何でこんなに光が好きなのか。
何で光はわたしにとってこれほどまでに特別なのか。
初めて好きになった人だからなのか…。