【完】さつきあめ

「光の代わりなんかいないもん…」

「だって会ってないんでしょ?連絡も来てないんでしょ?もうあれから随分時間も経つよ?さくらもそろそろ次に進んだっていいんじゃないかな?
それに…宮沢さんだってゆりさんと別れたんでしょ?系列でもっぱら噂だよ!会長がゆりと別れたって、新しい彼女はTHREEのさくらだって!」

「噂ってほんとあてにならないよね。
あたしと宮沢さんがどうこうなんて絶対にないよ…」

「そぉ~?きっぱりとゆりさんと別れる宮沢さんってちょっと見直したけどなぁ~!
あんなに綺麗で自分の店でナンバー1張ってた彼女だよ?!もったいなくて別れらんないでしょ!自分のお店辞めたら困るわけだし、相当さくらの事好きでしょ~!」

「そうなのかな…」

朝日の気持ちは正直わからない。
わたしに執着する理由さえ、さくらさんとたまたま同じ名前なだけな気がするし。

「相当と言えば、ゆりさんも相当だけどね。
結局会長と別れたって、ONEに毎日出勤してるらしいよ。
相当会長の事好きなんだね~!てっきりお金目当てだとばかり思ってたけどさぁ…
好きじゃなかったら別れてまでこの系列で働こうと思わないよねぇ」

そう、ゆりは朝日と別れた後も七色グループで働き続けている。
しかも売り上げも一切落としていない。
もちろん彼女としてもわたしに負けれない見栄やプライドもあったかもしれない。それをふまえたとしても、大前提としてあの人は朝日を真剣に好きなのだ。
いつか言ってた。ゆりは本気で朝日と結婚したいと思っていると。
そのゆりの気持ちさえ、胸が痛む。

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