【完】さつきあめ

「南さん…」

「え?さくら知ってるの?」

「ごめん、涼、あたしちょっと用事出来た!」

「え?!」

わたしは慌ててトリガーを後にして走り出した。
全部繋がっていくような気がした。

あれは、光と付き合っていた南だった。涼の元カノは南。
その事実にびっくりしたわけじゃない。
いつか、涼と一緒にいた時、朝日と会った。涼は初めて見る朝日にびっくりしてた。
元カノの浮気相手に似てる、と。
何故気づかなかったのだろう。あんなに近くにいたのに。
あんなに近くで、2人を見ていたのに。

2人を繋ぐもの、確かに感じ取っていたはずなのに。
熱い体温も、人を見つめる強い瞳も、寝顔も、ずっとずっと感じていた事だったのに…。

今までの事を考えながら、必死で走った。

その全てを知ってる人が、THREEにはいるはずだ。

「はぁ、はぁ……」

THREEの店の前、まだ灯りはついている。
きっと中に誰かがいる。
扉を開けようとした瞬間、それを制止させられる。

「何やってんだ?」

振り返ると、そこには朝日がいた。

あぁ、やっぱり似ている。目を細め、目の前にいる朝日を見つめた。

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