純真~こじらせ初恋の攻略法~
そもそも私達二人の裏切りは、お互いが話せば綺麗サッパリ誤解が解けて、こんな結果にはならないものだった。

しかしあの頃の私はそれができなかった。

「由加里はしっかり時期を見てたわ。お互いが事の真相を言い合えないようになるのを、ずっと見計らってた」

「藤瀬くんには、茉莉香が進路のことで頭がいっぱいになって、藤瀬くんとの温度差を感じた頃」

私が浮かれて藤瀬くんの感情を置いてきぼりにしていた時、由加里は藤瀬くんのことを冷静に見て、私と田原くんとのことを口にしたのか。

「茉莉香には、藤瀬くんが自分の転校で進路が決まらず焦り、茉莉香と田原くんのことで距離を置き始めた頃」

そうか……。

先に藤瀬くんに私と田原くんの話をしておけば、確実に藤瀬くんの態度は変わる。

そしてそれを私は不安に思う。

そこから私に『本当は自分と付き合っている』と自信満々に言えば、幼い私は簡単に信じてしまうだろうと、そこまで考えていたというのか。

いくら大人びていたとしたって、まだ中学三年生だったというのに。

なんという恐ろしい洞察力だろうか。

けれどもう一つ、大きな疑問が残る。

「誰も知らなかった藤瀬くんの転校を由加里が知っていたのはなぜ?」

転校のことは誰にも言えなかったと彼は言った。

ということは、この話はやはり直接藤瀬くんから聞いたということになるんじゃないだろうか。

藤瀬くんにそう聞いたが、「俺もわからない」と首を振った。

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