純真~こじらせ初恋の攻略法~
「これは、返すってことなの?」

私一人で先走ってはいけない。

不安げな表情で藤瀬くんの次の言葉を待ってみる。

すると藤瀬くんは首を横に振って笑った。

「違うよ。預けるって意味」

「預けるって……?」

確かに二人の大切な思い出なのだから、ゆっくり見返すのもいいかもしれないけれど。

それが緊張するほど大切な話なのだろうか。

首を傾げた私に、藤瀬くんは体ごと向き合って真剣な表情で見つめた。

「これをさ……この設計図を……つまり……その……」

歯切れが悪く、なかなか次の言葉が出てこない様子の藤瀬くんは、必死で頭の中で言葉を構築しているのだろうか。

藤瀬くんが緊張すればするほど、私は口元が綻んでしまう。

「つまり何が言いたいかというと……。今の茉莉香に、この設計図を描き直してほしいってことなんだ」

私が描き直す?

「つまり、この設計図を今のスキルで描き直してくれってこと?何かに使うの?」

今のスキルなら、二級建築士の資格も持っている藤瀬くんが描き直した方が、素敵な家になると思うんだけど。

ますます藤瀬くんの言わんとする言葉の意味に頭を悩ませていると、藤瀬くんは頭をガシガシと掻き始めた。

「そうじゃなくて」

よほど言い出しにくいのか、もごもごと小さい声で何かを呟くと、藤瀬くんは大きく息を付き、意を決した目を私に向けた。
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