純真~こじらせ初恋の攻略法~
最後まで笑顔でいることはできなかったけれど。

少なくとも泣き顔を見せることはなかったのだから良しとしよう。

藤瀬くんは私のことをすぐに忘れてしまうかもしれないけれど、私はきっと忘れることなんてできないだろうから。

恥ずかしい別れにだけはしたくなかった。

人生最初の失恋がこんな形で幕を下ろしてしまうなんて、想像もできなかったことだ。

あれから藤瀬くんがどうしたのか。

私の耳には何も入っては来なかった。

私の背中を押してくれた4人には、藤瀬くんと別れたことだけ告げて。

それからは何事もなかったかのように過ごしている。

ただ一つ違うことといえば。

私の世界から本当に藤瀬くんがいなくなってしまったということだけ。

どこにいても、なにをしていても。

私の隣に藤瀬くんはもういない。

それを痛感したくなくて、私は藤瀬くんの名前を一切出すことなく過ごした。

もう忘れたい、忘れるんだ、忘れたんだ。

そう自己暗示をかけるかのように。

次第に胸の痛みは薄れ、藤瀬くんのことは次第に思い出へと変わっていった。

それなのに付き合う彼に言われることは同じこと。

『俺を見ていない』『俺じゃなくてもいいんだろ』『誰と比べてんだよ』『俺のこと信じられないのか』

無意識に心に男性を侵入させることを拒んでいるかのように、私の恋愛はあれから全くといっていいほど上手くいかない。

あの日の別れが私の人生を大きく変えることになろうとは。

あの頃の私は知る由もなかった。
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