絶対領域
9月になって、早くも10日以上が過ぎた。
だからといって劇的に秋めくことはなく、本日も残暑が続く。
青々しい快晴。
窓際の席だと、光を直に浴びて、眩しい。
今日の朝のホームルームは、いつもよりざわついている。
理由は……
「では、文化祭の出し物を多数決で決めたいと思います!」
文化祭が近づいているからだ。
来月の中旬に開催される、西校の文化祭。
体育祭に並ぶ一大イベントに、クラスの皆は浮足立っているのだ。
もちろん私も、表に出さないだけで、ちょっとわくわくしてたりする。
教壇には、先生ではなく、学級委員が立って司会進行をしている。
私は頬杖をつきながら、候補が書かれている黒板をじっと眺めた。
これまで出された案は、3つ。
童話の劇。
カフェ。
写真館。
うーん、どれにしよう。
劇は、ステージに立つのは嫌だな。
あ、でも、裏方なら役に立てる!
でもなー、カフェもいいな。
写真館は、コスプレ衣装を用意して、それに着替えたお客さんを写真に撮ってあげるやつだよね。
絶対に思い出に残るやつじゃん、それ!
「……どうしよう」
決まらない。