絶対領域
「俺はいいジョークだと思ったよ」
「万氏!ユーはわかってくれるか!」
「……いい趣味してるね、バンちゃん」
オリを除けば、唯一フォローに回ったバンちゃんにオウサマは喜ぶが、私たちは冷ややかになる。
バンちゃんは作り笑いをして、淡いピンクパープルに染まる毛先を指に絡めた。
「ユーは、どういった経緯で神亀のメンバーになったのだ?」
バンちゃんの手にある花火に、オウサマがライターを近づける。
深紅の炎が、花火の先端に侵食して、激しく燃えた。
「うーん、そうだなぁ……」
風にそよがれて、泳ぐ、短命の花。
花弁の色が薄くなるにつれ、バンちゃんの頬は力なくほころんでいく。
「なんとなく、かな」
命を賭【ト】した花火を眺めながら、淡々と答えた。
「なんとなく“こっち”側の世界に踏み入れたら、あずきに神亀に誘われて、そのまま入ったんだ」
「あず兄がバンちゃんをスカウトしたの!?」
知らなかった……。
あず兄、見る目ある。
意外そうにする私に、あず兄が「なんだよ」と唇を尖らせた。
「万氏、それもジョークかい?」
「残念ながら、真実だ」
「ふむ。そうか、真実か。ならば、より興味深い。己の気分や成り行きの末に、この場にいるとは」
顎に手を添えるオウサマを、しん兄は一瞥してすぐ、まつ毛を伏せる。
「それは、万だけの話じゃないだろ」
「そうだな。十人十色の理由で不良になって、こうやって出会って、ここで花火をしてる。それって、すげぇことだよな」
あず兄は同意して、しみじみと語った。