絶対領域



薄い赤茶色の髪の男の子は、不適な笑みをこぼして、私を試す。



安静にしていなくちゃいけないけど……けど!


自然と、頷いていた。



会いに行けるのなら……!




「じゃあ行こうか」



ちょっとコンビニ行ってくるみたいなテンションで、やけにかるーく言うものだから、ついきょとんとしてしまう。


え?行こうか、って……。

そんな簡単に行けるものなの?



「彼もこの病院に入院してるんだ。病室は802号室。ちなみにここは710号室。つまりこの上の階に、彼はいる。行こうと思えば、すぐ行ける距離だよ。どうする?」


「……なんで、知って……?」



この人は、何者なの?




「全部、知ってるよ。君のことも、彼のことも、全部」




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