絶対領域
僕たち4人は、できるだけ詰め寄った。
改めて状況を整理し合う。
「身動きが取れない以上、誰かが助けに来るのを待つしかないけど……」
「ど、どうやって知らせるの?そ、束縛されてるせいで、で、電話もメールもできないのに……れ、連絡できる手段がないよ」
「それなら問題ないよ」
翠くんと僕の不安要素は、萌奈さんの一言によってあっさり取っ払われた。
へ?
問題ないって……どうにかできるの?
「神亀の皆が、助けに来てくれる」
絶対に。
そう断言する萌奈さんには、一切懸念がなく、どこまでも冷静だった。
信頼、とは違う気がする。
いや、もちろん信頼もしているんだろうけど、それだけじゃなくて。
来てくれると、確信している。
「俺と姉ちゃんがたまり場にいねぇのがわかったら、あのあずき兄さんのことだ、神亀総動員で捜してくれるさ。だからそこは心配してねぇ」
「今頃、血眼になって捜し回ってるかもね」
クスッと笑みをこぼす萌奈さんに、世奈くんも強気な笑顔を浮かべる。
そ、そうか。
あずきさんは、世奈くんと同類で、萌奈さんのことをすごく溺愛してるもんね。
助かることをわかってるから、2人ともそんなに落ち着いてたんだ。
「問題は、あのガラの悪い連中がどこにいるか、だね」
「あいつらをとっちめなくちゃ、気が済まねぇ!」
萌奈さんと世奈くんを包んでいた和やかなムードは、みるみる深刻に張りつめていく。