絶対領域
「……まあ、僕はこれからもユカを守るけど~!なんか癖みたいな感じになっちゃったんだよねぇ」
「じゃ、じゃあ、僕がユウを守るよ!で、できる限り!」
「うんっ!いつか背中を預けて戦えたらいいね~!」
「そ、そうだね。……ぼ、僕たち、双雷と神亀でグループ違うけど」
ゆーちゃん、ゆかりん。
仲直りできてよかったね。
本当によかった、よかった。
……ひと段落したところ、申し訳ないんだけど。
「あのー」
「ん~?なぁに、モエモエ~」
「そろそろこの縄を取ってくれない?」
本来の目的、忘れてない?
助けに来てくれたんだよね?
空気を読んでいたしん兄は、「やっとか」とため息を吐いて。
ゆかりんのことで頭がいっぱいだったゆーちゃんは、「あっ、そうだったねぇ」と笑ってごまかした。
2人が協力して、縄を外していく。
腕と足の拘束が解けたおかげで、随分楽になった。
締め付けが痛かったし、ここ寒いし、体勢を保つのにも一苦労だったし、もう最悪。
あのガラの悪い連中を見つけたら、フルボッコの刑だ。
「助けに来てくれてありがとね」
「まったくもう!こっちは大変だったんだからねぇ!アズから5分置きに『萌奈はたまり場に着いたか?』って連絡してくるし、モエモエとセナが全然来ないからアズが総長として急遽捜索の命令を下すしぃ!」
「無事に見つかったからいいものの……」
「まさか本当に事件が起こってたなんてびっくりだよぉ。ユカとミドもいるしさ~」
「なぜこんなところに監禁されてたんだ?」
神亀内は、予想していた以上に、大騒動だったようで……。
私のせいで、あず兄の寿命が縮んだりしてないかな。
だけど今回は、私たちもいろいろと大変だったんだよ。