絶対領域
あー……。
そうだ、そういえばそうだったね。
『ユーたちはどうぞご勝手に、そこのか弱くなったプリンセスを守ってやればいい』とかなんとか、皮肉も言われたっけ。
「もう怒ってないの?」
「ホワイ?なぜ我が怒らねばならない?」
「だ、だって、私が記憶喪失になって目覚めた時、怒ってるみたいだったから……」
会話が噛み合ってない気がするのは気のせい?
怒って嫌な態度取っちゃったから謝ろうとしてくれてるんじゃないの?
「……ああ、あれはアクト、演技だ」
はい?
え、演技?
これはもしや、オウサマの得意技の爆弾発言か!?
「この争いの黒幕が一体誰なのか、見極めていたのだ。最初はてっきりユーも記憶喪失というアクトをしているのだと推測していたが、病院で違うと気がついた」
ちょ、ちょっとイマイチ完全理解はできていないんだけど……演技だったから『一応』の謝罪をしようとしたってこと?
なんだろう、このドッキリさせられた気分は。
半分説明に置いていかれてる私をよそに、オウサマはちょうど近くにいたバンちゃんに話しかけた。
「まさかあそこで、情報共有という名目で、あの“悪魔”が我々を訪ねてくるとはな。実にサプライズであった」
「自分の正義のためなら、とことん貫いてみせるよ。どんな切り札を使ってもね」
バンちゃんも加わり、さらにちんぷんかんぷんだ。