悪いオトコ

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彼と出会ったのは、婚活パーティーだった。

女性は3万円、男性は5万円の会費を払う割と高目なパーティーで、出席者もそれなりの人格を持った人達だと思っていた。

そこに、彼……一樹 櫂(いちき かい)は紛れ込んでいた。

クールな容姿とスーツをスタイリッシュに着こなした姿は女性たちの目を惹いて、誰が彼を射止めるんだろうと会場は半ば戦々恐々としていた。

だから、どうせあり得ないはずと書いた彼の名前が、自分の名前と一緒に呼ばれて、カップル成立を告げられた時には驚きを隠せなかった。

周りの羨望の眼差しの中、「よろしくね、紗耶ちゃん」と、手を差し出されておずおずと握り返すと、

「……君が、一番可愛かったよ。本間 紗耶(ほんま さや)ちゃん」

すかさず握った手が引き寄せられて、そう耳元に囁かれた。

吐息がかかり、突然のことに熱く感じそうになる耳に、

「……可愛いね、やっぱり。俺の見る目は間違ってなかったよね」

と、もう一度声を吹き込むようにも話して、ふっと微笑んで見せた。