平凡女子ですが、トリップしたら異世界を救うことになりました
 とぼとぼと窓に近づいて、外を見る。
 
 高さのある青と白が混ざったような門らしきものが見え、その向こうには低い茶色い屋根がたくさんあった。
 
 その景色に、がっくり肩を落とす。
 
 扉が開き、エルマが入ってきた。背後にエルマと同じような服を着て盆のようなものを持っている、桜子と同い年くらいの女の子も続く。
 
 盆を持った女の子は、桜子と目と目が合うとビクッとして俯いた。

「寝台に戻って」

 桜子が寝台から出ているのは想定内だ。エルマは無表情で指示をする。

(ここではベッドを寝台と言うんだ)

 桜子は黙って寝台へ行った。

 エルマは小さなテーブルのようなものを持っており、桜子の投げ出した足の上に設置する。

 これは病院のベッドで食事をするときと変わらない。

(ここへ連れてきた人は私を軟禁しているけれど、気遣われているのかな……)

 テーブルの上に、エルマは女の子から受け取った盆をのせた。

 桜子は盆に並べられている皿に視線を向ける。手を拭く濡れた布が置かれていた。

 平たいパンはフォカッチャみたいで、オリーブオイルのような液体が小さな皿に入っている。

 赤い色をしたスープには野菜のようなもの見える。それと丸い桃のような果物があった。日本の桃より赤く小さい。

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