OLが男子高校生を拾った話
合鍵を使って部屋に入る。

一応スーパーに寄って材料を買ったから、大丈夫なはずだ。

お姉さんは何時に帰ってくるんだろう?


時刻は午後7時。
美味しそうな香りが漂う部屋で、俺はお姉さんの帰りを待った。

「ただいまー」

あ! 帰ってきた!

「ちょっと!」

勢いよくリビングのドアが開き、驚いた顔のお姉さんが入ってきた。

「どういうこと!?」

「……お礼です」

「私、頼んでないよ?」

「ご飯、作りました」

俺の言葉に、テーブルの上のミートドリアを見たお姉さんは、少しだけ目を輝かせてリビングから出て行った。

すぐに戻ってきて床に座ると、「ご飯食べたら帰ってよ?」とスプーンを持ちながら言った。

「嫌です」

俺の声が聞こえなかったのか、お姉さんは「いただきます!」と美味しそうに食べ始めた。

「すっっごく美味しい!」

お姉さんに喜んでもらえてすごく嬉しい。

父さんと母さんは帰りが遅かったから、俺はいつも家事担当で、2人は俺の作った料理を「美味しい」と言って食べてくれた。

そのことを思い出して、少し切なくなる。

俺はこれから、どうすればいいんだろう……?
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