OLが男子高校生を拾った話
ご飯の片付けをして、ひと段落ついたところでお姉さんは俺に問いかけた。

「どうして帰りたくないの?」

「・・・」

なにも関係ないのに、お姉さんにこれ以上迷惑をかけたくない。

でも、どこか期待している自分がいた。

「場合によっては、私も何か力になれるかもしれないし……理由がわからないのに、いつまでもここに置いておくわけにはいかないよ」

理由を話したら、ここに置いてくれるってこと?
図々しいってわかってるけど、もし可能ならば……

本当のことを話してしまおう。

「……俺、家族がいないんです。両親は先日亡くなりました」

お姉さんは何も言わずに俺の話に耳を傾けた。

「頼れる親戚もいなくて、家は追い出されてどうしようもなくなって……このまま死ぬのかなって思っていたところで、貴女が助けてくれたんです」

「そうだったんだ…」

……なんでお姉さんが泣きそうになってるんだよ。

「お姉さん…」

俺まで泣きそうになるから……そんな顔しないでよ。

お姉さんは俺をぎゅっと抱きしめた。

“生きている”温もりを感じて、思わず本音が溢れる。


「……俺を、捨てないで」


その言葉に、抱きしめる力が強くなった。


ごめんね、お姉さん……
< 14 / 27 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop