No border ~雨も月も…君との距離も~
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その晩から、シンは熱を出して 2、3日は 大事な喉もガラガラで……。

暑いとか……寒いとか……(どっちなん?)

桃缶がいいけど、汁だけが欲しいとか……(桃ジュースでいいんじゃないの?!)

薬は粉は嫌……でも、錠剤も嫌……( 黙って飲めっ!!)

弱ってるついでに、ワガママし放題。

「 プロには、まだまだだね~。ボーカリストは風邪、引いちゃダメだよ~。」

そんな彼をからかって…私は、子供のインフルエンザでもないのに、シンの傍にいた。

少年の頃の 孤独を埋めるかのように…東京へ旅立つ その日まで、私は バイトを休んで シンの傍にいた。

抉られた傷は 都会の冷たい風に、きっと……ヒリヒリ 疼く。

シンは、きっと…乗り越える。

誰もが 癒えない傷を 隠して 生きてる。

誰もが 痛みの傍で 生きてる。

傷があるから……誰かに優しくできる。

誰かを 救える。

シン…………そのままで。

ヤンチャで後先を 考えない……神声を持った

救世主。

私は、そんなシンを見るのが 好き。

そんなシンの歌う歌が 好き。

もし、寂しくなったら……怖くて眠れなくなったら……。

ここで 翼を休めて、また飛び立てばいい。

金沢の空も……

東京の空も……

同じ。 繋がってる…。



私は、シンが泣いたあの日……

絶対に彼を守ると 決めた。

どんなに二人離れても……

シンを 守りたいと思った。







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