No border ~雨も月も…君との距離も~
「 行き先の見えない自分に…どこか、不安で。

自信も、あるような……無いような……。

足元も おぼつかなくて、はっきり言って…今の 俺って、何の保証もなくて……。

現実、何も無くて……。

守ってやるから、ついて来いって 言えない自分が もどかしくて……。」

シンの 体温……。

この温もり……。

行き先なんて……どうでもいい。


「 ごめん……それでも…… 」

「 …………それでも? 」

「 好きでいて いいかな……。」

「 …………(笑) うん。」

シン……。月の声が 聞こえる気がする。

「 私も……シンのことが、好きだよ。」


どうか、夢が叶いますように。

手探りの夢を 見失わないように。

月の声……?

あなたを照らす 光になる。

暗闇を、夜を、照らす 光になる。

シン……。月の声は 亡くなったお母さんの声?

転ばないように。

傷つかないように。

見えない未来を 照らす。



月は……叱ってなんてない。

月は……いつだって シンを 守ってる。

月は……シンを 抱きしめている。

だから、自信を持って……


金沢駅の東口に入ると ashの 北陸新幹線のPR曲が流れてきた。

アップテンポで POPな感じの曲。

翔平君の書く ロックナンバーの中でも 親しみ安い曲になっていて、シンの日本語バージョンが ここでは使われていた。

人々の 足取りに合わせて、流れるashの曲。
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