No border ~雨も月も…君との距離も~
「 自由………って。」

私は、苦笑しながらも

少し………ゾッとする。

シンの 自由な笑顔から かけ離れた “ 束縛 ”という言葉にゾッとした。

「 あなたを追いかけて、私の手を離したシンの顔に嫉妬しちゃった。
………すごく。」

「 ごめん………私、話がよくつかめなくて。
シンも、カオリちゃんとシャークさんが元に戻るために 付き合ってた。
なんて………
おかしな事、言うから。」

カオリちゃんは、ふ――――っと息をついて、
“ 仕方がないなぁ~”という 表情をする。

「 シンの お母さん……。シンが、14歳の時に
自殺してるんです。」

「 ………………。」

私の瞼が 一瞬、光を遮った気がする。

「 だから………だと思うけど、
ちょうど1年ほど前、シャークと別れて……
行き場がなくて、
一人、ashのライブを見に行った 晩。
BIG4の屋上から、飛び降りようとした私を……シンが、引き止めてくれた。」

私の、パーカーの帽子を クイって……。

“ 舐めてんのか。ターーーコっ!!”

……とか 言って。(笑)

「 どうかしてた。………あの時の私。」

「 ………………。」

私は、黙って 彼女の言葉 一言 一言を 待った。

「 私もシャークも、ashが好きで よく2人でライブを見に行ってたの。
でも………
あの日は ホールの扉をどうしても 一人で 開けられなくて、
ふらっと向かった屋上に シンがいた。
澄みきった群青色の夕暮れに、煙草の煙とシン……。」

甘え………だったのかな。

今、思えば………それも。

“ ターーーコ ”なんて……言っておきながら、シンの目は、すごく真剣で……後にも先にも シンがあんなに怒った目をしたのは、あの時 限りで。

死ぬなんてズルいだろーがっ!

てめぇだけで 勝手に死んで、逃げて、終わりにす
んじゃねーよ。

許さねぇっ!

………って。

今でも、あの時の シンの顔が 忘れられない。

一人で 生きてると思うなって。
勝手に 生きてるって思うなって。

「 握られた腕が 折れるかってくらい 痛くて……
たった今、ここから飛び降りる つもりでいたのに、痛いから止めてって思ったりして。
ハッとした。
それから………
シンの歌声を あの日も、あの照明室で聴いて……
私は、生きてることに 感謝したの。
私は、シンがいたから……生きてる。」

「 ………………。」

今日は、何度も
言葉を返せないでいる。
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