No border ~雨も月も…君との距離も~
いつの間にか BIG4の事務所に、ashと夏香さん、鈴ちゃんと私。

CMの後に始まった 月9を チラ見しながら ミーティングが始まった。

「 YouTubeの再生回数とか……インスタ、Twitterなんかの フォローワー数も増えてるし、
CM かなり宣伝になったと思うの。
シンのことも、あの新郎役 誰?って興味持ってくれる人も多いらしいし……。
次は……金沢駅のPR イベントの曲だよね。」

「 うぇーーーいっ!!」と ハイタッチするメンバーに混じって 私と鈴ちゃんも一緒に両手を合わせた。

あのCMは……あまりにも美しくて、そしてあまりにも……ピュアで。
それでいて、シンの持つ特有の色っぽさを 映し出す映像はもう一度……再生してみたくなる気持ちがよくわかる。

夢に 少し近づいた気がして……

ワクワクした。

シンの夢は……

いつしか 私の夢でもあった。



私にとって、シンの書いた“ pure white you ”は
とても清らかで ……とても真っ直ぐで……
白より白い……そんな 愛の歌。



今、目の前で…スタンドのツナギのまま、タクちゃんとタケル君と 変顔対決?(謎)をしたり……
翔平君と 笑いながら 肩を並べて ケータイゲームに熱中している シンを見ていると 少しホッとする。

ここにいるのは、ashのシンではなくて……
私のシン。

「 もしかしたら……東京進出も 遠くない夢かもね!! 」

夏香さんが 笑った。

「 ねぇ、シン。 ありがとう……。」

「 ん……?」

夏香さんの 少し うわずるような声に、皆の視線が集まる。

「 おい…おい…。 どうした?!」

シンが 心配そうに のぞき込む。

ポロポロと 嬉し泣きの涙を溢す 夏香さんに……苦しくなる。

彼は 私の傍にいてくれるのに……

“ 夏香さんには 敵わない。”

そんな気持ちに 支配されそうになる。

「 いい曲だよね……。 いいCMだよね。
私…………嬉しいんだ。」

泣き笑いの 夏香さんの頭を、ポンポンとすると…シンは いつものように ケラっと笑った。

もうすぐ 列島 行脚のツアーが始まる予定。

今度のツアーが終わる頃 何かがashを変えてしまうかもしれない。

それが夢への一歩なら……
夢へ繋がるかもしれないなら……
迷いなんてない。

夢は……すぐそこに見えて 儚い蜃気楼……
けれど そこへ突き進んで 未来に 手を伸ばす。

夢へ……手を伸ばす。

午後 9時。
BIG4のロビーに、ashが入ってくると いつだって、力強い朝日が差し込んでいるかのように
彼らは、眩しくて輝いていた。


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