No border ~雨も月も…君との距離も~
シンが、私のTシャツを 勢いよく たくしあげるとあまりの激しさに 下着の背中のフックがパチンと弾けて、急に胸の辺りが緩んだ。

シンは、その強さのまま……私の胸に顔を埋める。

「 ちょっと……。シン……シャワーぐらいしよう……。」

「 …………逢いたかった。」

シンは、さっきの 迷子の子供のような表情のまま……激しいキスを 続けて 安心を探しているようにも感じた。

その甘え上手な態度と、目を閉じても綺麗な輪郭に……私は すぐに彼を甘やかせてしまう。

いや……? ちがう?

そうじゃなくて……。

私も 同じくらい 激しくシンを求めていて……

たぶん……そう。

身体は、心の声より……正直。

シンが、私のミニタイトを腰まで上げることに抵抗するふりをする 私はやっぱり天の邪鬼で 、けれど身体は 素直に受け入れる準備が整っていた。

シンの 強引な感覚に合わせられるようになってくると ようやく…キスの間に吐息が洩れた。

歌の歌詞と歌詞の間のブレス。

シンの唇は、激しくも……滑らかで 心地好いリズムがあった。

1ヶ月半ぶりの、シンの皮膚が懐かしくて 体温がやたらと高く感じる。

私の身体にも その熱がうつる……。

微熱。

夕日が、窓を燃やすように染めて 小雨の音が混じり合う。

小雨が……。

粘膜と粘膜が 交じり合う……音。

外は陽が出ているのに、パラつく雨。

私は 立ったまま…後ろからのシンを受け入れる。

前後に動くシンのリズムに 頭の後で留めてあった髪がパラパラとこぼれてくる。

揺れる……雨音。

雨音は 優しく地面に広がって 打ち付ける。

吐息からの声を堪えて、激しく揺れる視界に目を閉じる。

高熱。

……かもしれない。

そして、シンと一緒に絶頂をむかえると…私は肩で息をしたまま、這い上がったスカートを元に戻した。

やんちゃぶりも……無茶ぶりも シンのままで、大好きが溢れた。

「 ごめん……。」

嘘。
シンの瞳は イタズラ笑いを浮かべて……ちっともごめんとは言っていない。

シンに、腕を伸ばす。

「 逢いたかったよ。毎日…逢いたかった。」

そうやって シンを抱きしめながら このどうにもならない不安定君に……早く卵を 買って来なくちゃ……と気持ちは焦った。
< 61 / 278 >

この作品をシェア

pagetop