エリート御曹司は獣でした
弁解しようとすればするほど、恋を成就させたいと企む下心が漏れてしまう。

熱い顔で焦り、墓穴を掘りながら言い訳を続ける私を、久瀬さんは呆気に取られたような顔をして見ていた。


きっと、ドン引きしてるよね。

私の馬鹿……。


いたたまれなくなった私は、これ以上はなにも言わない方がいいと判断し、両手を握りしめて俯いた。

するとクスリと笑う声がして、男らしい指先に顎をすくわれる。

驚きの中で視線を合わせれば、彼の頬も心なしか色づいていることに気がついた。


「付箋を貼らずに、キスしようか」


低く囁くような甘い声と、隠すことなく色気を香らせる彼の瞳。

思いがけない誘いをもらってしまい、鼓動を跳ねらせた私は、ときめきと困惑に落とされる。


久瀬さん……ポン酢を口にしていないのに、どうしてそんなことを言うんですか?

私が嬉しいなんて言ったから、サービスのような感じでしてくれるんですか?

それとも、もしかして、私のことを……。


< 177 / 267 >

この作品をシェア

pagetop