エリート御曹司は獣でした
「いらないわ。同期入社の仲だもの、奢ってあげる」
「いや、そういうわけにはいかないだろ。俺はこういうことをーー」
「いらないったら。久瀬くんは相変わらず真面目ね。どうしても払いたいの? それなら……」
そこで一度言葉を切った彼女は、しめしめとばかりに嬉しそうな顔をする。
そして、「今度ランチをご馳走してもらおうかしら?」とニッコリ笑って提案した。
「会社近くの洋食屋で構わないわよ。あの店、オムライスが美味しいの。久瀬くんと一緒に行きたいと思ってたから、ちょうどいい機会ね」
勝手にランチデートの計画を立てた彼女に、久瀬さんの眉が微かに寄っている。
けれども口元の笑みは絶やさずに、彼は「わかった」と頷いた。
「時間に余裕があれば一緒に行こう。なかったら、なにかお返しの品を渡すことにするよ」
果たして久瀬さんが、乗友さんとランチデートをする運びになるのかどうかはわからないが、ふたりの会話に聞き耳を立てていた私は、心の中でポンと手のひらを打った。
奢られるのが嫌だという彼の気持ちを利用してデートに誘うとは、なるほど、うまい手法である。
つい、乗友さんの作戦に感心してしまった私だが、真似してみようとは思わない。
なぜなら、久瀬さんを困らせたくないからだ。
「いや、そういうわけにはいかないだろ。俺はこういうことをーー」
「いらないったら。久瀬くんは相変わらず真面目ね。どうしても払いたいの? それなら……」
そこで一度言葉を切った彼女は、しめしめとばかりに嬉しそうな顔をする。
そして、「今度ランチをご馳走してもらおうかしら?」とニッコリ笑って提案した。
「会社近くの洋食屋で構わないわよ。あの店、オムライスが美味しいの。久瀬くんと一緒に行きたいと思ってたから、ちょうどいい機会ね」
勝手にランチデートの計画を立てた彼女に、久瀬さんの眉が微かに寄っている。
けれども口元の笑みは絶やさずに、彼は「わかった」と頷いた。
「時間に余裕があれば一緒に行こう。なかったら、なにかお返しの品を渡すことにするよ」
果たして久瀬さんが、乗友さんとランチデートをする運びになるのかどうかはわからないが、ふたりの会話に聞き耳を立てていた私は、心の中でポンと手のひらを打った。
奢られるのが嫌だという彼の気持ちを利用してデートに誘うとは、なるほど、うまい手法である。
つい、乗友さんの作戦に感心してしまった私だが、真似してみようとは思わない。
なぜなら、久瀬さんを困らせたくないからだ。