恋の神様に受験合格祈願をしたら?

【side:菅野大志】

 まだ初夏だっていうのに、あっつい日差しの中、俺たちは汗だくになって生徒会室へ戻ってきた。
 途端、
「リューイチ! 夏はみんなで兵庫に行かない? ニコちゃんのおばあちゃんちに泊まりたい! 写メ見せてもらったんだけど、古くて大きくて、テレビで見た昔屋根裏で蚕を飼ってたみたいなお家なの」
 珍しいこともあるもんだ。
 大概はプリプリしてるかクールのどちらかな仁美ちゃんが、興奮気味にリューイチへと迫ってるよ。
「みなさんが行かなくても急ぎなら送ってもらいますし、夏休みまで待ってもらえるなら、私が買ってきますから」
 あたふたするニコをそのままに、
「お守りだけで効果抜群なら、お参りプラスしたら絶対無敵よ。行けるなら絶対行くに決まってるでしょ!」
 谷地ちゃんが捲し立てた。
「お守り? 目当ては神社か」
 リューイチが軽く唸った。
 俺たち男は全員、神社仏閣巡りに興味ないもんな。
「そこ、なんのご利益があるの?」
 マモルが見崎ちゃんに尋ねた。
 見崎ちゃんの頬がほんのりと赤くなった。
「えっと……その……受験合格です!」
「だったら俺も行きたいな」
 興味をしめしたリューイチに対し、
「僕は来年行きたいです」
 2年生のヒロが当然の答えを返した。
「まあまあ、さっき日向さんが送ってもらえると言ってたし、来年度受験組は時期をみて送ってもらえばいいだろう」
 リューイチの言うことはもっともだが、1つ引っかかる。
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