オジサンに恋しちゃダメですか
その瞬間だった。

私の腕を掴む手があった。

「きゃっ!」

振り返ると、四宮君が立っていた。


「四宮君……おはよう。」

「その顔、どうした?」

「えっ……」

「泣き腫らした目して。もしかして昨日の夜、何かあったのか?」

すごく、心配してくれている。

ありがとう、四宮君。


でもここで、四宮君に泣きつく訳には、いかない。

「何でもないの。心配してくれて、ありがとう。」

にっこり笑って、背中を向けた。

その時、私は四宮君に、抱きしめられた。


「いつでも、頼っていいから。」

心臓が、バクバク言っている。

「俺、奈津菜ちゃんの事、諦めないから。」

ドキッとする。

「う、うん。」

すると四宮君は、私を離れて、オフィスへと向かって行った。

私は胸の前で、心臓の鼓動を抑えるのに、必死だった。
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