クールなアイドルの熱烈アプローチ
ごめんなさいっ!ごめんなさいっ!と朝陽に対して平謝りする蛯名を見て、大堂がつけあがるわけだと堀原は思わず納得してしまった。
ふと視線を朝陽に向けると、朝陽は腕を組み指をトン、トン、と動かしながら何か考えているようだった。

「そう言えば、朝陽君は俺に用事があって来たって言ってたけど……」

「ん?ああ……じゃあ、そっちを先に片付けましょうか」

腕を組むのをそのままにして朝陽が視線を堀原に向けたので、堀原は気持ち背筋を正し朝陽の視線を受け止めた。

「堀原さん、あんた……なに約束破ってくれてんの?」

睨まれたのは自分でもないのにビクッと体を揺らしている蛯名。
堀原は真っ直ぐ朝陽を見つめ、本当に申し訳なかった。と頭を下げて謝罪した。

「謝るだけなら口先だけでも出来るって、あの時俺、言ったよね?」

「ああ」

「陽菜がデビューする時、数ある事務所のスカウトの中から堀原さんとこを選んだ意味、忘れられちゃ困るんだけど?」

「忘れたことは一度もない」

「じゃあ、何でこんな結果になってんの?
芸能界に陽菜を放り込むなら代わりに何があっても死に物狂いで護れって俺言ったじゃん?護れてないし」

「……面目ない」

「俺はちゃんと、陽菜の情報提供する約束守ってたのになー」

言いながら朝陽は傍らに置いていたスマホを手に取り操作する。
指が止まると同時に堀原のスマホが鳴り、朝陽が目線で、見ろ。と指示してきたので見てみると、思った通り朝陽からのメッセージだった。

“陽菜姉は今、越名勇人のところにいる”

驚き朝陽を見るが、朝陽は絶対に口に出すなと言うように鋭い眼光を飛ばしていた。
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