クールなアイドルの熱烈アプローチ
「大丈夫か?」

「は、はい……。
えっと……腕を掴まれたり、手を握られたり、距離を取らせてくれずに密着してこられただけです……」

と陽菜がぼそぼそと言うと、堀原は眉間に皺を寄せた。

「大堂とスキャンダルになりたくなかったらお前ももっと警戒しろ」

「はい……」

「ベタベタされたら、セクハラだとでも言って振り払え」

「は、はい……」

「なんなら叫んでも構わん」

「……はい……」

ーー……叫ぶなんてこと、出来るかな……。

何せさっき、いきなり腕を引っ張られた時も声が出なかったのだ。
陽菜は不安に思いながら返事をすると、少しだけ怒りが和らいだ堀原が陽菜の頭をポンと叩いた。

「俺も出来るだけ近くにいるようにするから、心配するな」

「……ありがとうございます、堀原さん。
心強いです」

笑顔を向ける陽菜に堀原は呆れた顔で、こういう事は噂の彼氏に言ってもらえ。と言うので、彼氏じゃないですーっ!と陽菜は頬を膨らませた。

「秋村さん、スタンバイお願いしまーす!」

「はーい!今いきます!!」

気持ちを切り替えて陽菜は指示された場所に向かって歩き出す。
その先に大堂がいつもの不自然な笑顔で待っているが、陽菜は真っ直ぐ前を見つめ、歩みを進めた。
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