ずっと・・・



そんなある日、とうとう理事長に呼ばれた。

校内ではなく、プライベートで。

つまり、理事長としてではなく、彼の母親として逢うことになった。

逢うことが決まってから一応のマナーを聞いたりはしたけど、付け焼き刃じゃすぐにボロが出てしまう。

それならもう、普段の自分を見せた方がいい。

だから、取り繕うこともせずに逢った。

偽りの身で、この先がある訳がないから。

とりあえずは、見合いがなくなればいい。

そう気楽な気持ちでいた。


「初めまして。門脇佑介の母です」


そう言った理事長は、学校で見る雰囲気とは違っていた。

とはいえ、こんなに近くで理事長に逢うのは初めてのことだ。

よほどのことがない限り、生徒が理事長と話すことなどないからだ。


「……内山有紗です」


初めましてと言うべきなのか、迷った。

話したことがないとはいえ、理事長の学校の生徒だ。

今、素の姿だけど、彼が話して知っているはずだし。

色々迷った挙げ句、挨拶なしで頭を下げた。




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