ひとりだと思っていた君へ

「うん。大丈夫。ほらバイト始めて薬飲む時間がばらついたりしてたから、そういう生活習慣が少し変わったことも原因かもって言われちゃった」
「そっか」
「うん。難しいね」
と苦笑いをした。

それを不安がっているように受け取り
「大丈夫。今だけだよ。今まで何もなかったんだし。気をつければ、大丈夫」
「そうだよね。今まで元気にやってこれたから、きっと気をつければ大丈夫だよね」
ありがとうと励ましに感謝する。
「なんか今更だけど、ごめん。無視して」
「え、あ、ううん。当然だよ。私、宏くんに嫌われて当然のことしたと思う。ごめん。あのとき、一方的に否定しちゃったし、何も返事できなかったし。本当にごめんなさい。ずっと気にしてた」
「何言ってんの。嫌いになれるわけないじゃん」
強く否定すると、照れたように「ごめん」とまた呟いた。
まだ好きだという気持ちが伝わってきて、柚月も照れ臭くなり目を逸らした。

「あ、何か飲む?」
「ううん。大丈夫。ありがとう。それより……美織ちゃんから聞いたんだけど、その……三波とのこと。喧嘩に巻き込まれたんだって?」
美織は本当に須長くんのことを信頼しているようだ。
「あ、うん。でも何もなかったよ。本当に。助けてもらったし」
「普通、そういうことに女の子を巻き込まないよ。守るってそういうことじゃないと思う」

須長くんの言うことはもっとものように聞こえる。
女の子を危険な目に合わせる時点で守ってはいない。
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