ひとりだと思っていた君へ

柚月は足を止め、
「湖夏。とにかく私はハローくんが虐められっ子だとは思ってないから。そういう目で見てないからね」

しっかりとした口調で言われ、湖夏は悪気があったわけではないけど軽い口調で話していたことに気づき「ごめん、ごめん」と明るく謝った。

「それに好きとかまだわかんないし」

曲がり角のところで須長くんと鉢合わせになり驚いた。あやうくぶつかるところだった。

「ごめんなさ……って、宏くん」
「びっくりした。ごめん」

この前、バカと言われたことを思い返したが、須長くんは気にしていない様子で
「柚月も残ってたの」
「うん。宏くんも? 何するんだっけ、文化祭?」

そこで湖夏が先行ってるねーと柚月を置いて先に向かってしまった。長くなると思ったのだろう。

「お化け屋敷」
「すごい大変そう」
「まだ全然できてなくて。たぶんすごいしょぼいの出来そうだよ」
と自虐めいた冗談を言う。

そこで柚月はママと話していたことを思い出した。
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